内子の筏流しA

2002年4月28日
うどん食べ放題

 1948年にトラック輸送に切り換えるまでは、上流で切った木を筏にして、50キロ離れた河口の長浜町まで3日間かけて流していた。1連の筏は3人で操作し、自転車を積み、帰りはそれに乗って帰ってきた。普通の人の賃金の2倍はもらえる花形の職業だったという。川登地区にも20人ほどの筏師がいた。いまも3人が健在だ。
 復活のきっかけは、国道の改修工事だった。1車線しかない国道を拡幅しようとすれば、川側に張り出してコンクリートの巨大な壁をつくることになる。川ツツジが咲く自然を残したかった。「景観に配慮を」と運動するなかで「川祭り」が生まれ、93年から筏流しが始まった。その結果、トンネル2本と橋5本を組み合わせて、コンクリート壁の出現を避けることができたという。
 広い河原にあるメイン会場には、うどんやおでん、鮎飯や有機栽培の甘夏などを売るテントが軒を連ねている。役場に勤めながら地域おこしにかかわるTさんの話を聞いていたら、レイザルが竹筒でつくった容器でうどんを食べながら出現した。
「300円で食べ放題やで。食べな損や。このへんええとこやな。空き家はあれへん?」
「あっありますよ。あの山の上の家もあいてます」とレイザルの唐突な質問に面食らったようにTさんが答える。
 ドラム缶のような特製の鍋でうどんをゆがいている。 「もっとゆでて」「じっくり煮た方がうまい」と周囲のおばちゃんが注文をつける。こしのあるうどんより、やわらかいうどんを好むようだ。
 「いやあ、コシのある讃岐のうどんと比べたら負けるよ」と気のいいおっちゃんは率直だが、やわらかいうどんもこれはこれでうまい。
 無農薬の甘夏、豆腐田楽、コンニャク……。食べ物が豊富で楽しい。

子供を乗せて筏遊び

 

竹筒の容器を配られてうどん食べ放題