四国カルストA

2002年6月〓

昔ながらの風景が残る特別地域

  牧草地になる以前の風景が唯一残っているのが天狗高原と五段高原の間である。昔は何年かに一度火入れしてきた。笹の下にはササユリなどの花がたくさんあったという
  ここだけが高知県側の自然公園の「特別地域」になっている。
 笹原の合間に黄色い小さな花が咲く。笹原がころどころ擂り鉢状にくぼんでいる。これがドリーネだ。
 一周30分ほどのハイキングコースを歩く。風がふくと、ザザーっと波のような音をたてて笹がざわめく。昔はこんな荒涼とした孤独感を感じられる風景が延々と続いていたのだ。
 天狗高原には高知県東津野村がつくった資料館と国民宿舎がある。
  カップヌードルを食べて、それから東側の森にある1時間ほどのハイキングコースを歩いた。
  ヒメシャラが群れをなし、ブナやコナラの新緑がきらめく。雲は夏のように天高く盛り上がっている。野太いウグイスの声が間近で聞こえる。石鎚のような巨木はないから、おそらく2次林だろう。展望台からはセメントを採取して山の形がかわっている鳥形山がのぞめる。
 かつては砂利道が、麓の柳谷村の集落まで通っていた猪伏林道は、頂上近辺だけは2車線の巨大な大規模林道になっている。石鎚の仙人Mさんがヤイノヤイノと文句を言ったためか、周囲の森はほとんど傷んでいないようだ。コンクリート壁で生息圏が分断されてしまう小動物が通るための通路もいくつか設けたという。そもそもこんな道が必要かどうか、という問題はあるが、きっちりしたことを言う人がいると少しはましになるものだ。
 帰りは小田深山の渓谷わきの細い道をドライブして美山から33号に合流した。
 松山を9時に出て、帰宅は5時すぎだった。

昔ながらの風景が残る特別地域

 

なんという名前の花だろう

鳥形山