西表・船浮A

2002年8月
漁船は高い

 ジャングルのなかを歩くと、紫か青の筋がある鮮やかなトカゲが何匹もいて、レイザルは「もうかえゆ」「もうかえろ」とすっかりおびえている。
 10分ほどで人っこ1人いないビーチに着く。リーフも近く、シュノーケルには最適という。水中メガネをもってこなかったことをちょっと後悔。
 午前10時にムラに戻る。
 民宿の東屋で休憩。太い丸太の柱でかやぶき、下にはサンゴを敷き詰めてある。風がとおって涼しい。蚊もこない。 その先にある戦跡、日本軍の避難壕などを見に行きたかったが、あきらめた。
 ビールを飲みながら、釣ったばかりのグルクンをアイスボックスにつめる作業をしている民宿のおばさんの話をきいた。とれたばかりのグルクンはほんまにカラフルだ。
 静岡の御殿場近くにいたおばさん。林業していたが、半年前に夫の実家のここに帰ってきた。船を3隻もち、自家用車がわりだ。大きめの漁船は500万円。船外機つきのボートのような漁船でも2、300万円はするというから、車に比べると高い。
 10時半の定期船でUターン。「あっちの島は炭坑があったから一時は何千人もいたんだ。いまはゼロ。郵便局も小学校もあった」
 新八食堂で「野菜ソーキそば」を食べる。大きな肉のかたまりと野菜がたっぷり。チャンポンのよう。ボリュームもあって健康的だった。900円。
 12時。石垣行きの船にのる。さよなら。山の青があざやかや。 【つづく】