史上最大の…
夜がふけて、隣の牛舎からモーと牛の声。
「切なさそうやね」(レイザル)
「子牛と引き離されたからよ。でも、時間がたって最近鳴く回数は減ってきたけど」(おばちゃん)
「子牛はどう?」
「子牛は鳴かないねえ」
親の心、子知らず。人間と一緒なのだ。
翌朝の朝食は、せろりの葉入りの卵焼き、セロリとミズナのサラダ、メザシ、鶏肉の焼きおにぎり、味噌汁(なっぱと揚げと若布)、大根おろしとキャビア、おから(大根とダイコンナ、人参と玉ねぎ)
レイザルは早起きして饅頭作り。3年もののドブロクの上澄みで小麦粉を練り、しばらくビニール袋に入れて置いておくとふくらんでくる。それを蒸す。賽の目状のサツマイモを入れた石垣饅頭は、麹の香りがこうばしい。
僕は炭焼き小屋の作業をちょっと体験させてもらった。
それにしても食い倒れの3日間だった。体重が一気に2キロも増えた。レイザルも過去最高を記録した。
「どないしよ、どないしよ。明日から朝ご飯はコーンフレークにするわ」だってさ。
▽追記
これだけ特徴ある町づくりをしてきた安心院町も、まもなく宇佐市と院内町と合併する。「せっかく安心院の名が知られてきたのに。福祉もよかったのにねえ」とおばさん。
合併を本気で望んでいる人なんかほとんどいないのに、不可抗力のように突き進む。合併せざるを得ない財政状況をつくった政治家や官僚の責任はどうなってしまったのだろう。