面河渓から石鎚山A

2004年6月13

しまなみ海道方面の島々のくっきり
シコクシラベの純林

 11時40分、愛大小屋に到着。2つの小屋のうち1つは施錠されている。避難小屋に使われてきたもう一つは鍵は開いているが、窓ガラスは割れ、戸はこわれている。寝られないことはないが、いつ倒壊してもおかしくない状態だ。
 15分後、石鎚を正面にみる斜面で昼食休憩。握り飯と稲荷はどちらもうまい。クマザサの斜面を30分ほど歩くと、シコクシラベの保護林にたどりつく。林のなかには、湧き水を木で導いている水場がある。水がうまい。土地が豊かだとクマザサが入ってきてしまう。やせているから、シラビソの純林ができるのだそうな。
 ふり返れば二ノ森方面の稜線が緑色にたゆたっている。
  ゴゴゴゴという音をきいて足下をみたら、御来光の滝がちらりと見える。愛大小屋から急斜面をおりたあたりだ。いったん下ったら、のぼるのはさぞや大変だろう。しかも谷に迷い込みやすいという。だから、雑草の繁茂にまかせて道を閉鎖したという。
 12時55分、瀬戸内を望む稜線に出た。西条の加茂川の河口付近や、東予の港、しまなみ海道の島々……。これほどくっきりと見えるのはめずらしい。
 13時05分、山頂に着いた。山小屋からはジャズが流れている。中はコテージ風の食堂だ。550円の缶ビールをつい買て飲み干した。
 南には大川嶺や笠取山やカルスト高原が一望できる。岩黒の向こうに白く光るのは、おそらく太平洋岸岸ではあるまいか。海がきらきら輝いているようにも見える。こんなにも空気が澄んで遠くまで見渡せる日は、年に何日もないだろう。
 70歳のおばあさんが杖をついて、息子といっしょに登ってきた。「もう登ることねぇから、1人で写してくれ」と、記念写真をたくさん撮ってもらっている。腰がまがって杖にすがっているのに、西条側の成就から3時間以上かけて登ってきたのだ。「もう登ることねえから」という言葉にちょっとしんみりする。
 たれ流し便所を見学したあと、13時50分、同じ道を下ることに。3時間後、足ががくがくになりながら登山口にたどり着いた。  

 

愛大小屋は朽ちかけている

 

シラベの純林から二ノ森方面を望む