五島列島教会巡りD

2001年1月28-30日

江袋教会 【8:15 国民宿舎発、8:30着】

  天ぷらの油が悪かったのか、下痢気味。
 出発して10分そこそこでレイザルが静かになり、車を止めたら吐いた。「きのうは吐いたらすっきりしたけど、きょうは切れが悪いわ」
 江袋教会は木造平屋建て瓦葺き。1882年建築の木造では長崎県内で最も古い教会という。民家のなかの路地を歩いてたどりつく。集落の公民館といった風情だ。8:40発
 海岸の曲がりくねった道を走っていたらまたまた吐く。「きょうはレイザルのゲロ塚あちこちに作りそうや」

江袋教会。鼻水をたらすレイザル

津和崎灯台近くの椿

津和崎灯台 【9:05着】

  着いた途端にまたゲロ。ありゃまどしたんやろ。
 丘一面に椿の木。ちらりほらりと花が咲く小径を登り切ると灯台がある。ずっとずっと眼下の海に船がかすかな音を立ててすべっていく。9:25発。
 ここからは、空港の近くにある頭ケ島教会への1時間ほどのドライブ、のはずなのだが、5分ほどでレイザルのおしゃべりが止まる。
「大丈夫か?」「ウン」…(あかんもう近い)…
「ほんまか?」(フンと息が抜けるような声) …3秒後…「もうダメかもしれん」
「すぐダメか?」…コクリ…あかん。
 スピードをゆるめりと、車が停車しうちに扉をあけ、シャーッ。
 有川のスーパーマーケットで、ゲロがてら買い物。五島うどんやら名物のカンコロモチ(薩摩芋を練り混んだもち)を買う。五島うどんの有名な食堂があったが、2人とも食う気力が出ない。30分ほど休憩して頭ケ島教会方面に向かうが5分ほどで「ちょっと停めて」……というわけで、訪問はあきらめる。
  ところが途中で道を間違えて、ゲー、有川の町をちょっと迷ったらまたゲー。計8カ所、レイザルのゲロ塚ができた。「ゲロ塚巡礼できんで。大阪の新地やミナミにもあるけどな」とのこと。

鯛ノ浦教会 【12:00着】

 玄関外壁のレンガには、原爆で破壊された浦上天主堂のレンガも用いられているという。入り江をみおろす教会の駐車場に着いた途端にガランガランという鐘が鳴り響く。山にこだまして部落中に響き渡る。
 写生していたら、シスターのように髪を布で覆ったおばあちゃんが、孫らしき4歳くらいの男の子を連れて歩いてきた。
「ここは教会。昔は殺されたと」
「なんで?」
「昔キリスト教がね、許されていない時には殺されたと」
 普段の散歩って感じで通り過ぎていった。キリスト教がほんまに生きているんだなあ。

後ろから見た鯛ノ浦教会
五島では教会のある風景が当たり前だ。

 鯛ノ浦港に車は乗り捨て。「ほかの港からの便は欠航してもここからは出ることが多い」とレンタカー屋のあんちゃんが言うだけあって、湖とか池のような入り江だ。
 入り江に浮かぶ小さな島の小さな桟橋に鳥居がある。舟でしか参拝できない神社だ。
  帰途はジェットフォイル(5600円)。名前は「えれがんと2号」。午後13時20分、出航。まもなくレイザルは眠った。酔うのが怖いからだろう。
 15時、長崎港着。降りた途端に元気になった。「いやあ五島は快適な旅やった。リアス式海岸は最高や。……あれも食べよう、これも食べよう思ったのに、ほとんど何も食べられへんかった。今回のテーマは『長崎はきょうもゲロだった』や」。
  勝手にせい。