怪宴
食事は恒例の味噌味の鍋。鶏肉、豚肉、イカ、ホタテ、魚…と、盛りだくさんなのが昔とはちがう。当時は鶏肉とタラなどの白身魚が入る程度だった。キャスターつき巨大囲炉裏のなかで火を起こし、鍋を乗せる。
教祖が笑顔浮かべ、手に焼き魚を手にして近づいてきた。さっき自分で釣ったばかりのキスだ。
「どうや。きれいやろ。教祖お手製のキスや。キスというのは接吻や。これでみんな幸せや。めでたいやろ」
わけわからんことをつぶやきながら、一口ずつ味見をさせて回っている。釣れたのがよっぽどうれしかったのだろう。
午後8時すぎ、竪穴式住居にうつる。かまどの周囲を山小屋風の板の台が囲み、寝られるようになっている。ランプ型の電球は薄暗く、ホテルのバーの雰囲気だ。「バー竪穴」と名付けられた。
隊長がおもむろに火をたく。頑張りすぎて煙が室内に充満し、みんな涙を流している。「結婚の儀」の神聖さに感動し、打ち震えているのだろうか、とはだれも思わない。
教祖の挨拶。
「きょう、わしがキスを釣った。キスは接吻や。接吻を釣ったというわけや…」
酔っぱらって、本人も何を言っているかわかっていないだろう。
宴はこれからクライマックスを迎える。あやしげなフラメンコや歓喜のケーナも登場する予定だ。が、一般人が立ち入れるのはここまで。あとはボヘミアンに加入するか、多額の献金(缶ビール1本でOK)がなければ明かせない。 完
「当日来られなくなったKちゃん、やっぱりあの案内状にびびっちゃったのね。ほんまに大丈夫やから、今度は来てね」(サル)