ターギャーな人たち

2001年9月12

再度白保

 バスターミナル横の山海亭でふぐの一種の魚の汁定食を食べているうちに晴れてきた。
 地元資本のレンタカー屋に入ると、保険料込みで1時間1000円。短時間だからありがたい。
 まずはもう1度白保へ。船着き場に着くと、長い髪の女性がいる。「あっ、Tさんだ」。レイザルがはねるように車を飛び出した。
 いつの間にか雲の間から太陽がのぞき、強風なのにおだやかな海が鏡のように輝いている。でも、リーフの向こうは猛烈な白波だ。
 昨夜の酒宴の小屋は、缶やらペットボトルやらが散乱したまま。「(昨夜)片づけようとしたんだけど、『ほっとけ。どうせあとで燃やすから』だもん。たーぎゃー、なんでしょうねぇ」とTんは笑う。
 数日前、交通事故があって高校生が1人死亡し、連日大々的に報じられた。「警察も検問してるから気をつけて」と言う。普段はひまだから、警察は適当な車を停めて点検をすることもあり、そのとき4分の1は車検切れだった、という話があるらしい。
 堤防沿いの幅2メートルもない小道を、腰の曲がったおばあさんが行ったりきたり。もう90歳代という。自転車に乗ったおじいさんも延々往復運動を続けている。
 敬老の日には90歳をこえたおじいさんが自分で馬に乗って行進した。「60歳までは大阪よりトシ食って見えるけど、それを超えると年をとらんなあ」(レイザル)、「90歳をこえた人なんか、なんか神々しい雰囲気があるよ」 (Tさん)。
 防波堤に座って20分ほど話していてら、「ただいま」と、Tさんの小学校3年生の息子と友だち2人が体操服姿で現れた。放課後は海へ直行するのが日課だ。色は真っ黒。もうこっちの子と区別がつかない。
 車に乗り込んで出発しようとしたら、サンゴ村のKさんがボロ車でやってきた。「また来てくださいね」と見送ってくれる。
 「ほんま、来てよかったね。友だちもできたし」とレイザルも満足そう。
 石垣島最北端へ。周回道路からはずれて北に向かう道路に入ると、サトウキビ畑が増える。先端の岬の灯台は、芝生のような草原の突端にある。牧草地として利用しているのか北海道のような雰囲気だ。灯台と向かい合う小高い丘に登ると、強風が吹きすさび、吹き飛ばされそう。眼下に灯台。リーフがぐるりとりまき、その外では巨大な波がしぶきをあげている。
 帰途、吉原の集落にある喫茶店「やしの実」に寄る。大きな別荘を改装したようだ。3階にある喫茶店からは、180度の海が望める。
 オーナー夫婦は札幌から5、6年前に移住し、1年間移住先をさがした。本島の読谷からの移住者が多いから開放的な雰囲気のあるこの集落に決めたという。最近も定年後の夫婦が家を建てたという。
 「北海道はみんな開放的だったから、こっちは苦労もします」と彼らはいうが、僕には沖縄の人はきわめて社交的で人懐っこく思えた。無性に移住したくなってくる。
 夕食はホテルのフランス料理。石垣の魚介類と農産物を使ったコースは創造性があって楽しい。コース料理で4000円。思ったより安かった。   【つづく】

 

石垣最北端の岬。リーフの向こうは台風の白波

 

 

米原ビーチの夕景色