阪急の岡本駅を11時に出発する。急な坂を汗を流しながら打越峠へ。それから住吉川に降りて、右岸(西側)をのぼり、途中で、西お多福山方面に折れる。
昭文社の地図では、「やぶこぎあり熟練者向け」とあるが、よく整備された尾根道だ。ヤマアジサイかと思われる白いつぶつぶの花が一面に咲き乱れ、ブナの木も、小さな花を大量につけている。息が詰まりそうな草いきれと、甘い花の香りが交互に鼻をくすぐる。
西お多福山を出てまもなく、六甲山の稜線上に出る。ケーナを吹いてのんびりしてたから3時間かかった。
ドライブウェーの周辺では、アジサイが紫やピンクの花をポロリポロリと咲かせている。1週間もしたら満開だろう。
水筒の茶がなくなったため、湯槽谷方面に行くのはあきらめて紅葉谷を選び、百間滝方面に寄り道することにする。
細い踏み跡をたどる。こういう小径を歩くと、六甲も捨てたもんじゃないなと思う。山道を5分ほどくだると滝の上に出る。やわらかなせせらぎだが、下をのぞくと断崖絶壁でクラクラする。急な山道をまいておりると、今度は滝の下に出る。黒い岸壁に木漏れ日のシャワーでベールをかけたようだ。
ここから15分ほどが、このコースで唯一緊張する谷下りだ。岩でつるっと滑らないように、狭い谷の両側の岸壁に腕を突っ張り、そろりと足を踏み出す。地下足袋をはいて、濡れることを苦にしなければ、なんということはないのだけど。
まもなく、大きな谷と出合う。乾いた岩がゴロゴロしていて、そこだけ木がないからポッカリと日が射している。砂防ダムの上に土砂や岩がたまった平地だ。右手をちょっと登ると白石滝。下手な絵を描き、ケーナを吹く。人がいないのがうれしい。20回ほど六甲は歩いているけれど、人の入った跡が少なくて、それでいて簡単に入れるこの谷はお気に入りのスポットである。
有馬温泉へは、小学生でも歩ける道を30分ほどたどればよい。 完