北新地のウィスキーバーA

2001年3月18

アルコール30度の秘密

  しばらくストレートでチビチビ味わっていると、
「ちょっと水を入れるね」(マスター)
 ウィスキーの量の半分くらいの水をチョポンと加える。アメリカではこれを「スプラッシュ」というそうだ。
 すると、最初の豊かな香りが戻ってきてさらにマイルドになり、甘いにおいも加わる。味も深い甘味が出てくる。ストレートのときと同じウィスキーとは思えない。
「(アルコール分が)30度くらいが一番味と香りを楽しめるんだよ」とマスター。
 40度のウィスキーならアルコールを10度分薄め、60度の酒なら半分に薄める。アルコールによって味覚や嗅覚を麻痺させないためには30度がちょうど良いのだという。ただ、カルキ臭い水道水ではダメらしい。
 1杯飲み終わっても、そのグラスをすぐには下げない。10分ほど経って、
「さあ、さっき飲んだこのグラスをにおいを味わって」
  さっきはなかった、馥郁とした甘いにおいが鼻腔をくすぐった。
 たった80tほどのウィスキーで、こんなに楽しめるとは……。
 今まで、本当においしいウィスキーを知らなかったんだあ。こういう飲み方を知ってしまうと、水割りなんか口にする気もなくなるなあ。

 

 

「Bar 吉富」
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