竹富島B

2001年9月10

長寿の島

 「メモをとってるんですか。一生懸命見てくれてうれしいねえ」と上勢頭さんは大げさに喜ぶ。
  柳田国男の話になると、「柳田先生は石垣までしかこなかったのが残念。でも柳田先生の頃の石垣島の様子はこの島に残ってるんですよ」
 戦後の昭和30年代、民芸復興のなかで本土に紹介されたのが竹富島が脚光をあびるきっかけだった。
 司馬遼太郎の「街道をゆく」には、17年前に亡くなった先代の住職のことが書かれている。

 竹富島は長寿の島としても知られる。死亡者の平均年齢は90歳をこえ、寝たきりは1人もいない。9月15日の敬老会は、国の「敬老の日」よりも歴史は古いという。地元新聞に上勢頭さんが書いた記事のコピーと、島の概略を書い た紙をくれた。
 ところが、話しているうちに時計をチラチラとのぞき、急にそわそわしてきた。
「すいません、きょう、ちゅらさん3回目。もう3 回もみてるんです」。そう言って閲覧室を出ていった。
 赤瓦と目の覚めるような白砂のムラを、レンタサイクルに乗った若者や、水牛の観光馬車がのんびり通りすぎる。牛やにわと りの声が響く。
 団体旅行がいないから落ち着く。東南アジアの海岸のムラのような、時間の流れが滞り、一種退廃した旅行者には居心地のよい空気が流れている。
 集落のなかを走っていたら鳥居があった。「仲筋御嶽」。島のアニミズム信仰の拠点の1つだ。
  こんもりした鎮守の森のような暗がり。「千と千尋の神隠し」で、異界への入り口になった森と隧道があったが、 その雰囲気にそっくりだ。落ち葉が朽ちかけている小道を100メートルほど歩くと、土台と石の壁だけになったのお堂があった。
 アーチ型の扉の跡をくぐ ったら、映画では大草原が広がるはずだ。が、もちろん現実は亜熱帯の森が広がっているだけだった。
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▽居酒屋「あじ小屋」(石垣市中心部)のメニュー
 安くて若向き。チーズやバターなどと組み合わせた創作おつまみが面白い。生ビール280円、アダンのチリソース780円、ジーマミ豆腐の揚げだし400円、イカスミメンの島風炒め980円、ウドンチャンプルー、あわもり1合350円、オオタニワタリとタカセガイの炒め980円(あわびににてる)、テビチからあげ480円。2人で計6400円。

島のあちこちにバナナが

 

ハイビスカス