クリスマスがわりに淡路の魚の宿で昼食をとることにする。
昼食までの時間つぶしにホテル阿那賀でお茶をする。集落から離れた小高い斜面にある低層のホテルはいい雰囲気だ。鳴門の海峡の橋が正面にのぞめる。駐車場の車が外車ばかり、というのは……だが。
丸山港という漁港のほとりへ。漁協が経営する魚の直売所「魚彩館」には、港であがったばかりの天然の鯛やひらめなどがずらり。新鮮でおいしそう。この港の目の前にたつ4階建ての民宿「いづみ丸」が本日の目的地である。
昼食は3500円から。「おすすめは?」ときくと「今はハギのつくりがおいしいです」。せっかくだから1人5150円の料理をたのんだ。
長い階段をのぼって4階の部屋へ。眼下に丸山港、湾の反対側の山の稜線には鉄筋づくりの大きな別荘がポツンポツンと建っている。
「昔はね。ふつうの緑の山だったんだけどねえ」「あそこは風が強くて大変よ」と民宿の従業員さん。
最近売り出し中の別荘地だ。海が見渡せる丘の上だから、それだけ風も強い。昔からの住民は、もっと穏やかな場所に居を構えてきた。別荘と民家とは求められる役割がちがうのかもしれない。
まずは刺身の盛り合わせ。ハギの活け作りは、大きな肝の味が濃厚で、薄造りの淡泊な身でまいて食べるとおいしい。サワラも適度な脂がのっている。カンパチ、タイ、ヒラメ。どれもギトギトしてなくて、身が締まっていている。
フグの鍋とフグ皮、タイの卵、タコの酢の物なども並ぶ。鍋を先に食べてしまうとほかが食べられなくなるから、あとにまわす。
名物の焙烙焼は迫力がある。よく熱した素焼きの焙烙の上にアルミハクを敷いて油をしき、その上で天然タイの半身とサザエを焼く。タイの皮が香ばしく、身はほろほろと口のなかでとろけていく。尾の身は逆に適度の弾力がある。頭や眼球の周囲を食べるころには腹いっぱいになり、濃厚な味をじっくり味わえないのがもったいない。
腹いっぱいになったところで、フグの天ぷら。ふだんは普通の魚と野菜の天ぷらだが、きょうはサービスだという。腹が減ったときにビールといっしょに食べ直したい。
あっさりしたみそ汁とご飯、それにメロンでしめる。
あーうまかった。
でも実は、自分で炭火で焼く魚が一番おいしかったりする。
前夜はアジとカマスの開きを炭火で焼いて食べた。寒空の下は手がかじかむけど、魚がうまくてビールがどんどんすすんだ。鼻をすすりながら身をほぐほぐと食べた。もちろんその後は温泉に直行した。
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