鹿児島の茶と紅茶@

2001年9月

 茶といったら静岡と狭山茶の埼玉と宇治茶の京都、というあたりが定番だったけど、実は静岡に次いで生産量が多いのは鹿児島なのだ。機械化という意味では静岡をはるかにしのぎ、茶農家1軒あたりの収入もはるかに豊かだそうな。

枕崎から知覧

 大規模な茶の農家。平野にドドーンと直線のウネができている。下の機械はスプリンクラー。静岡の牧ノ原台地なんかでは、高さ5メートルほどの防霜ファンがたくさん立っているけど、ここは、スプリンクラーで霜を防ぎ、農薬も散布してしまう。
 収穫も、コンバインのように人が乗って運転する刈り取り機を使う。手積みなんか日本国内では、宇治の抹茶用のお茶(テン茶)をとる畑など、ごく一部でしかやってない。ちなみに静岡で一番多いのは、ウネの両側から2人でかついで刈り取る小型の刈り取り機だという。それじゃあ、鹿児島のこの機械化農業にはかなわんわな。
 鹿児島がなぜこれだけ発展したかって?
 そのへんはいずれ。
でもそんな鹿児島でも、今では中国産の茶に危機感を募らせてる。大規模・効率生産だけでは生き残れないのかもしれないなあ。

 ちなみに、京都や埼玉の生産量なんて微々たるもの。「宇治茶」「狭山茶」のなかには、鹿児島やら高知やら三重やらの茶がたっぷり入っている。

山間地の比較

 どっちも山間の茶畑だけど、上は鹿児島の近代的な茶畑で、下は、江戸時代からの銘茶の産地と言われる静岡県の川根地方の茶畑。
 なにがちがうかって?
 川根は急斜面の上にそのままうねるように茶が植えられてる。これでは乗用型の大型機械は入れない。だから採算性が悪くて後継者がいない。
  でも、上のように段々畑にすれば、機械も導入できる。ちなみに上の写真の一番手前に肌色の地肌が露わになってるところで機械をUターンさせるんだそうだ。
 鹿児島って、ちょっと茶の本を読んだ人のあいだでは平地の大農場というイメージ(僕もそう思ってた)だけど、こういう山間地もどんどん茶畑にかわってるんだよね。
 枕崎市の裏山なんかは昔は雑木林で、鰹節作りの薪の供給地だったんだけど、どんどん茶畑に変わってる。山の上から町中を見ると、鰹節をつくる工場の煙が見える。
 ちなみに、枕崎の駅前のカツオ料理の店の定食はおすすめ。

 

鹿児島・知覧近辺の茶畑
 
  静岡・川根周辺の茶畑
【つづく】