釧路は炉端の故郷@

2001年12月10-11

 

 釧路の街にとりわけ目立つのが「炉ばた」と寿司店。 炉ばた」って、そんなにあちこちにあるもんだっけ?と疑問に思ったが、実は「炉端」発祥の地だのだという。


 幣舞橋


元祖「炉ばた」

 午後4時。街はもう暗い。名所の幣舞橋ごしにみる西の空は鮮やかな橙に染まっている。
 幹線道路の道路橋。高知のはりまや橋と同様、なんということはないのだが、霧やら夕暮れやらのおかげか「がっかり名所」とは言われない。
 真っ暗で寒くて、もう飲みにいくしかないのだが、お目当ての寿司屋はまだ準備中。喫茶店を探して繁華街を歩くのだが、見つからない。
 仕方なく、釧路川沿いの現代的なフィッシャーマンズワーフのビルMooに入った。「くしろ港町ビール」というのぼりに誘われ、ビルの3階へ。
  釧路川の川面をのぞむ席に座る。幣舞橋の街路灯が水面にうつってゆらゆらと揺れている。寂しげに凍てついているのに妙に暖かい雰囲気なのはなぜだろう。ロンドンのテムズ川はこんなイメージなのかなと想像する。
 だが料理はいただけない。刺身の盛り合わせ(マグロとイカとホタテとサーモン)は月並み。生ビール2杯もこれといった特徴がない。それで2500円。2度と来るまい。
 全国の「炉端焼き」の元祖とされる店「炉ばた」へ。
 古びた民家風。引き戸をあけると、薄暗くてあたたかい。柱や天井はすすで黒光りしっている。オーバーを脱いで、番台のような部分をコの字型に囲んだカウンターに座る。
 中心の番台?にしつらえてある囲炉裏の正面に80歳くらいのおばあさんが背筋をしゃんとのばして正座して、魚やじゃが芋を炭火で焼いている。ホッケの脂が炭に落ちてジュウジュウと音を立てる。
 まずは刺身。ホッキ、ウニ、ツブ。ツブのはごたえがうれしい。
 老婆を含め、従業員はみな中高年の女性。「店は50年、おばあちゃんは43年魚を焼いてるんだ」とのこと。この店にとっては老婆は神棚から抜け出してきた守護神のようなものなのだ。
 秋刀魚とじゃが芋としいたけ、アスパラを焼いてもらう。アスパラが甘くてうまい。季節はずれのせいか、秋刀魚はいまひとつ。酒を注文すると、炭火のわき置いてある陶器のカメから竹のひしゃくでしゃくって注いでくれる。
 古びた振り子の時計や夷さんのような人形、音が割れる年代物テレビがおばあさんの背後に並ぶ。焼き物が一段落するとおばあちゃんは振り返ってテレビに見入る。酒2杯、ビール1本。お会計は5900円。かなり高い【つづく】


釧路湿原駅