四国カルスト@

2002年6月〓

 

 日本3大カルストと呼ばれるが、秋吉台ほどの規模ではない。開発が進んで興ざめな部分もあるのだけど、懐かしさもあって8年ぶりに訪ねた。
 国道33号を高知方面へ。松山から1時間ちょっとの柳谷村から西に折れて国道440号に入る。

驚きの風力発電。景観という意味では電線も地下化してほしいものだった

 

風力発電

 ほとんど車が通らない細い道を右に左にうねると、茅葺きの家がちらほら。30分ほどで高知との県境の地芳峠に着く。さびれているけど、8年前と同じ峠の軽食堂が1軒残っている。
 西(右)に行けば大野ケ原、左に向かうと五段高原から天狗高原にいたる。きょうは五段高原方面へ。
 尾根上に登り切ると広々とした牧草地だ。緑の牧草のなかからカーレンと呼ばれる石灰岩がごつごつと突き出ている。独特のカルスト地形だ。
 五段高原に近づき、柳谷村の宿泊施設がある姫鶴平に近づいて驚いた。目の前に高さ10メートルはある白ペンキ塗りの巨大な風車が2機そびえている。高知県側の檮原町が建てたという。
 例えるならば、京都駅前に建つ京都タワーだ。
 おのぼり観光客は喜ぶ。が、周囲の風景とマッチせず、景観はぶちこわしている。自然公園では木石の採取や、草1本手折ることさえ禁じられているのに、行政による巨大な破壊はこうして許されてしまう。
 何十年も前に、国営草地改良事業があったとき、高山の花が咲き誇っていた笹原は牧草地になってしまったから、今更多少景観がかわっても同じこと、という意見はあるのだが。
 牧草地の周囲にアザミが咲く。これは「荒れ」の象徴だ。
 麓の農家が牛をつれてきて夏の間だけ放牧している。自然のなかで牛と戯れる光景はのどかだが、実は自然への負荷は大きい。
 深い縦穴の洞窟が大野ヶ原周辺には多いが、その下には牛の糞がたまっている。洞窟にしか住まない貴重な生物の生存を脅かしている。

【つづく】

カルストの核心部。牛が歩く風景はのどかだ