ショップで荷物をあずけてから仲間川の河口近くでカヌーに乗り込む。
レイザル殿の希望で2人乗りを選ぶ。僕は後部座席。ヤツにこがせておいて、後ろでさぼれるのがいいね。シーカヤックはカジを足で操作するのが楽しい。舵がついてるから、直進性にすぐれている。これなら海でも安定感がある。約8キロ離れたパナリ島まで、ギンギラギンの太陽の下をこぐ。
途中、定期船の航路を横切る。
「ここだけは急いで。高速船はこっちを見てませんから」。水深最大30メートルと聞いてサル殿は「サメもいるんかな」とびびってる。
途中、水深がどんどん浅くなり、20センチほどに。リーフだ。色とりどりの魚がわきでるように泳いでいる。
前方に2つの島。左はまだ人が住んでいる。右手がきょうの目標で、今は無人島。数年前まで牧場だったがつぶれた。小中学校跡も残っている。昭和29年前に廃校になったという碑があるという。
1時間半ほどで島に着く。白い砂。ガジュマルの森。
木陰で弁当を食べる。1人2リットルの麦茶がうれしい。突如、クマゼミが鳴いた。
ちょっと沖に泳ぎ、岩場を探していくと珊瑚礁のリーフがあらわれる。熱帯魚が群れをなす。岩のあるところリーフあり、リーフあるところ魚あり、と、泳いでいるうちに、魚のいそうな場所がわかってくるから不思議だ。
1時半出発。10分ほど沖合でとまる。眼下には巨大なサンゴ礁。カヌーからすべるようにおりる。洋上でカヌーに乗り降りするのははじめてだ。
シュノーケルで泳ぐと、海はまるで森のよう。浅いところは泳ぎにくいから、リーフとリーフの谷間をぬうように森を歩く。谷間から大きな魚がゆるりと出現する。1時間ちかく海の森を探検した。
4時前に出発地点に戻った。
カヌーを片づけ、事務所にもどり、缶ビールで乾杯。心憎い演出だね。
ショップの店長?の山元さんは25年前、まだ島を半周する道もなかったころ。本土から渡ってきた。インストラクターのおにいさんも外から。 名古屋から来てこっちで結婚した女の人の話では、学校の生徒数は十数人。いまの1年生は複式だそうな。現在石垣市にある役場を大原に、と要望する声もある。役場が石垣にあって職員は石垣に住んでいるから税金は石垣市に行ってしまう……と言っていた。
【つづく】