九重の厳冬温泉記B

2003年1月28日
九州1高い温泉

 山荘の廊下は冷凍庫のように冷え切っているが、風呂場の脱衣場はストーブであたたかい。
 外気が冷たいから、浴槽からは湯気がたえまなく舞い上がる。木の浴槽からはやわらかな香りがたつ。
 寒さを我慢して腰まで湯につかる。20分ほどで顔からどっと汗がふきだす。
 じゃっぽん、ジャポポポ。ざざああ。ぽんぽこぼこ。湯を適度にさますための郵便箱のような木の箱からたえまなく流れ落ちる。
 ぬる燗の酒をいれたマグカップを洗面器にのせて、ちびちびと雪見酒としゃれこんだ。
 6時、食堂へ。風呂あがりのビールが最高だ。もつの煮込み、おでん、もちいりスープ、みかん、キャベツ、甘酒のムース。さすがに昨夜ほどのごちそうではないが、ハムカツやらエビフライしかないような山小屋の食事とは一線を画し、味付けもしっかりしている。料理をつくるのはオーナーの奥さん。「山小屋の食事、じゃなくて、旅館のような食事にしたいと思ってるんですよ。昔は客が少ないときはそうしてたけど、多い季節は山小屋的だった。10年程前から年中やるようになりました」とヒゲにいさんは説明する。
 テレビの天気予報は、明日は今日よりも2ー5度も気温が低くなると報じている。九州各地で大雪が降り、山間部は20センチは積もるらしい。とんでもない日に来ちまったなあ。食堂でちょっと読書して、寒さにふるえてもう一度風呂へ。ボコボコボコという音をBGMにして20ページほど文庫本を読んだ。
 ひげニイサンによると、食堂がある建物は昭和20年代築。木造2階建ての宿泊棟は30年程前に建てられた。温泉の泉源は100メートルほど上にあり、45度の湯がわいている。夏場はここまでひいてくると42度になり、浴槽わきの木製の箱を通しすと多少さめてちょうどよい。冬は38度まで下がるから、ボイラーで加温している。だから、木箱を通すより、ボイラーと直接つながる下の管から湯をそそいでいるという。 【つづく】


法華院温泉の浴槽なんだけど……

 


夕食メニュー