木曽路の宿場巡り@

2003年8月12

 

夏休み初日。まだ目的地が決まらない。エーイ、イテマエ。車で埼玉の実家まで帰るぞ。途中に信州でもいけばいいやん。松山発の無計画旅行は8月12日午前11時に始まった。
 このときはまさか、ノアの箱舟のように連日連夜雨に降られるとは予想していなかった。予算は2人で10万円。軽自動車ekワゴンに乗り込み、レイザル運転でスタート。
 
 


木曽の中山道の宿場町・奈良井

 

 

 

柳ケ瀬

  最近運転に慣れてきたこともあって、ハンドルを握ると途端に凶暴になるレイザル殿。高速に入って、ちょいと遅い車がいると、口がクルクルまわり始める。
 「なにとろとろしてんねん」「いてまえ」「どうしたんや、遅いで」「なんだなんだなんだ」「ほらみ、こいつがおそかったんや」
 「あんた、日ごろの自分のへなちょこ運転を忘れてるんちゃうんか」と言うと、ふと我に返って、
「だから自動車はあかんねん。自分を忘れてしまうからな」。車のせいにすんなっちゅうの。
 13:55、徳島IC。14:25、南淡SA。17:45、多賀SA。ここで「大垣から一宮まで20キロ渋滞」のニュースが入った。小牧まで2時間以上かかる。これじゃ中津川には行き着けない。「関ケ原から一般道を走ったほうがいいかも」といわれ、関ヶ原から岐阜へ向かう。岐阜市街に着いたころには日はとっぷりと暮れた。僕はもっと先でキャンプをしたかったが、「もう暗いし、ホテル泊まろうぜ」とレイザルはすっかり気弱になっている。
 1人5000円のビジネスホテルにチェックインした。
 暗くて沈んだ岐阜の街。高層建築がほとんどない。「繊維商店街」なんか、夜のせいかシャッターばかり。ホテルで教えてもらった柳ケ瀬本通りにある居酒屋「菊川」へ。女の子もおっさんも若いサラリーマンもいる大衆酒場。メニューはどれも安い。生ビール1杯ずつと生酒1瓶。いろいろ料理を頼んで2人で4700円。味は普通だが値段がよかった。
 演歌にもでてくる柳ケ瀬。フィリピン、ラテン、韓国の女の子が道ばたにたむろしている。 1人だったらスペイン語の練習がてら、絶対声をかけるんだけどな。
 居酒屋側の商店街は10時に電気を消したのに、道の向こうのアーケードは色とりどりのネオンがまたたいている。その華やかさにつられて足を踏み入れると風俗街だった。キャバクラとかヘルスとか、ストリップとか、もろもろ。これでもかこれでもかと並ぶ。
 「お二人でどう?」「(怖がってオレの手を握っているレイザルをひやかして)その手はかたいきずな?」。アーケードを徘徊する呼び込み込みおじさんや、ワンレンの南方系の顔の女の子たちがうろうろ。化粧か香水の甘い匂いがして、中南米かタイの歓楽街を思い出す。立ち止まりたいけど、ガマン。淡々と通り過ぎた。
 岐阜ってけっこう魅力的な街やね。もう一度来よう。 【つづく】

 

グリーンホテル(岐阜)
 駐車場込み、2人で10380円