安心院へ@

2003年11月

 

 一昨年、西表島で出会ったマキちゃんの実家からドブロクが届いた。大分県「安心院」の名はそのとき強く頭に刻まれた。全国的にはグリーンツーリズムで知られている。11月の連休、「ドブロクの里」をたずねた。

 

 

別府温泉方面をのぞむ

 

城下カレイ

 愛媛県八幡浜市からのフェリーで別府に着いたのは昼過ぎ。とりあえず海沿いに車で20分ほどの「城下カレイ」で有名な日出町をめざす。海辺の古城の真下の海底から真水がわきでていて、そこに育った鰈がおいしい、という話は「将太の寿司」だったか「おいしんぼ」だったかで読んだことがあった。
 正月のように静まりかえり、人影もほとんどない商店街に城下カレイの専門店「能良玄質家(のらくろや)」(0977-72-2037)を見つけた。
 玄関のいけすにはカレイが泳いでいる。旬は5月ごろだが、今もある。5000円と7000円と1万円のコースがあると聞き、ちょっとたじろいだが、一番安いコースを頼んだ。
 さしみ、煮つけ、空揚げ、ゆびき、おすまし、漬物(発酵もの)。学生時代ならば「足りない!」と思ったろうが、今ではちょうどよい量だ。鰈の身は歯ごたえがあってさすがにおいしい。ただ、松山市の「伊予寿司」で食べたカレイの寿司ほどの驚きはない。
 城跡は小学校になっている。海がたゆたうようで、春のようにぬめっとしている。海の向こうの山の麓に広がる別府の街からは幾筋もの白い湯気がたちのぼっている。
 大正時代の別荘のような木造の民家があった。「葉山かなんかの別荘みたいや。ここなら住んでもええなあ」とレイザルが言った。
高速道路を20分走って安心院町のマキちゃんの実家へ。
 ジーンズ姿の茶髪の男性が出てきた。歳の離れたお兄さんかと思ったら、お父さんの上鶴さんだった。定年直後の元校長先生というから口ひげをはやした謹厳実直タイプを想像していたのに、拍子抜けした。
 居間には2台のパソコン、食堂にはノートパソコンがあり、無線LANでつながっている。観光協会のパソコン担当だという。【つづく】

 

この城の下に美味しいカレイが。