桂昌寺跡「地獄極楽」
おどろおどろしい名前に興味をそそられる。江戸時代、山の斜面の廃寺をある僧が復興しようと思ってつくったパノラマ洞窟だ。
洞窟の入り口には閻魔大王がいて、地獄に送るか極楽に送るかを決める。地獄の洞窟には血の池地獄やら賽の河原やらが並ぶ周回型の洞窟をまわりつづけることになる。ただし、子どもだけは途中から天国への抜け道を抜けられる。これが、「胎内くぐり」という暗く狭いトンネルだ。今はなかは水浸しという。
何回も地獄をめぐり罪を許されると、直線上の極楽への洞窟に入れる。そこには、薬師やら虚空蔵やら有名な仏さんが並んでいる。地上に出ると、蓮の葉をもった仏さんの像。ここに乗せてもらって極楽に運ばれるのだ。実際は高さ5メートルほどの垂直の洞窟を鎖にすがってよじのぼる。と、安心院の盆地を見渡せる高台に出る。そこにはさまざまな仏像を配置して、極楽の世界を形づくっている。
大人でも楽しめるのだから、子供ならなおさらだ。上鶴さんは子どもをつれてきて洞窟内でいきなり電気を消して肝試しをするという。5回も10回もくるくる回って楽しむ子もいる。江戸時代のフィールドアスレチックといったところか。
【つづく】