石手寺はいつも来るから新鮮味はない。
納経帳を買ったらすでに納経の墨字?は書いてあり判も押してあった。「あじけないのお」
門前で名物の焼き餅を買う。草餅と白い餅、どちらもあんこの甘みが控えめでおいしい。
太山寺までは11.2キロの行程だ。9時15分に出発してまもなく、レイザルはサンクスに入って、肉まんを買ってきた。「まずは腹ごしらえやで」とのこと。
歩き慣れた道だが、遍路気分で歩くと「へんろ道」という札や、昔ながらの石の道標がよく目に付く。以前に記事で道標の写真を使おうと思って自転車で走ったときはなかなか見つからなかったのに、次々に目に飛び込んでくるのが不思議だ。
道後温泉の本館前をへて、にぎたつの道へ。
護国神社と山頭火の一草庵わきを通過する。「太山寺まで8.3粁」の看板を見てまもなく国道196号に出る。しばらく北上したが気分が悪いから西の住宅地内の道に折れ、泰山寺とおぼしき山にむかって川沿いを散歩する。裸の枝に黄色いウズラほどの実が無数に残っている。銀杏だろうか。
11時40分、山肌にとりつき、ため池わきのミカン畑のなかの急坂をのぼる。眼下には北条方面の海がみえる。15分ほどで行き止まり。ミカンの作業をしていた夫婦に「太山寺は?」と尋ねると
「やっぱりまちがえたのか。よくあるんですよ。下までトラックの荷台に乗っていきなさい」
「歩くの好きだから」と断って歩いておりた。ため池のところを直進しなければいけなかったのだ。
山ぎわ小道をぬって昼過ぎに太山寺保育園に出た。大きな灯籠のわきに巨大なソテツがある。灯籠や石碑や石仏が遍路道には多く、目を楽しませてくれる。
一の門のなかにも寺内町のように民家が建ち並ぶ。門のなかに住宅地があるのはおもしろい。
【つづく】