海と瓦と
知人の来訪がとりやめになり、急遽、お遍路のつづきをすることに。
きょうはJR堀江駅を9時20分に出発する。
気分のいい海岸を歩き、1時間ほどで北条の町並みへ。雪雀の酒蔵をはじめ、古い建物があってあきない。
11時、鎌大師の庵主だった手束妙絹さんが住むグループホームに着く。俺は外で待っていて、レイザル殿だけあいさつにいく。大正の山の手のお嬢様といった気品がある、すてきなおばあさんだそうだ。
鎌大師への道をみすごし、北条の町中を歩き、北条港にでる。おわんの飯をひっくり返したようにこんもりした鹿島の小山が、風景のアクセントになっている。知床のウトロ港の風景に似てなくもない。あそこは「ゴジラ岩」とかいうのがあったっけ。
12時、バイパスと合流した場所にある手打ちうどんの店「かわよし」に入る。こしがあってなかなかおいしいめん。生ビールと、田舎おろしうどんと、半うどんと鶏空揚げ定食で2200円と、値段は多少高かった。12時50分発。
1.3キロほどで道の駅の「ふわり」。腹がいっぱいになったからこれは通過する。
14時25分に真沖という集落に入る。蔵のある立派な家が多い。粟井近辺の市営住宅の平屋の古家を見たせいか、なおさらそう感じるのか。耕地が広いわけでもないのに、なぜこれだけ豊なのか。
菊間町に入るとすぐ名物のウナギ屋がある。町の中心部には地場産業の瓦工場が国道沿いにずらりと並ぶ。家々の屋根は黒光りする瓦ばかり。きっと上から見たら美しかろう。今は京都でも珍しくなった「甍の波」が見えるだろう。
町の中心部にある「厄よけ大師の遍照院」に立ち寄る。きょうは札所には到着できないから、ここで納経してもらう。15時半に着いて15分ほど休憩をとった。
40分ほど歩くと、沖合にいくつものタンカーがみえる。パイプラインがそこまで伸びている。太陽石油のコンビナートと、地下備蓄基地があるのだ。コンビナートの風景は威圧感と寒々しさがある。周辺に大きな家が多いのは、補償などがあったからだろうか。
備蓄基地のわきの小さな峠をこえる。国道沿いには柑橘の店が2,3軒ある。さらに5分ほど歩くと、亀岡という集落に入った。16時55分ごろ、亀岡駅に到着。と、目の前に電車が停まっている。あわてて駆けたが、タッチの差で走り出してしまった。
30分の17時半の電車で松山へもどった。駅の左手奥にある若者が好きそうな居酒屋で夕食。2人で4000円ほど。
きょうは24キロほど歩いた。 【つづく】