愛媛遍路・春53-54

2004年3月29日
たくま饅頭

 もうすっかり春。桜や菜の花が美しい。
 きょうは車で伊予亀岡駅まで行って、午前9時半にスタートする。 もちろんダイエットのため朝飯は抜き。
 しばらくは海沿いの国道を歩く。トラックが多く、わきを轟音と排ガスをたてて突っ走る。前回のように集落に入る小道があればよいのだが、それもない。コンビナートやら造船所やら、景色も殺風景だ。花壇に植えられた赤白黄のチューリップだけがホッとさせてくれる。  
 星の浦は、大西町が整備した海浜公園。砂浜はいいのだが、目の前に新来島ドッグがあり、ジェットフェリーという双胴船らしきフェリーが沖合に浮かんでいる。神戸の須磨に比べればはるかにきれいな海だが、こっちの海に慣れてしまうと泳ぐ気にはなれない。
  魚をのせ、かやをかぶせたような円形のかごがくるくるとまわっている。ハエをよせつけないためか、ヒモのを作りにちょうどよい風を送るためか、人間の知恵っていいな、と思う。
 10時半、大西町のコンビニでにぎりめしとゆで卵の食事。国道から1本はいるとレンゲが咲き乱れる田んぼがあった。レイザルは「燃焼系…アミノ式…」とかいうゼリー飲料を買っている。本気でこれで皮下脂肪が燃えると思っているようだ。甘い。
 196号バイパスと今治市街地方面への分岐点に「たくま饅頭」という店があった。レイザルはあっという間に吸い込まれ、1つ80円の円盤状の薄い饅頭を2個、買ってきた。作りたてのほかほか。あんこは甘すぎず、酒饅頭系の上品な味。昔、群馬の高崎市にあったカタハラ饅頭に似ていておいしい。
 「これは酒粕をつかってるんですか?」とレイザルがきくと、
「うちは酒粕じゃありません」
「じゃあどうしてるんですかぁ」
「秘伝ですからお教えできません」だって。俺だったら
「石手寺の饅頭のほうがうまかったなぁ」とでも悪態をつくところだが、レイザルはその場では「とってもおいしかったです。ありがとう」などと言っておいて、5分後に
「なんや、あの態度は。最悪やな」と怒りだした。けっきょく被害者は俺だけ。
 池内タオルの工場に、ギャラリー風の店があったからちょっと見学する。 【つづく】

 

 


大西町、造船所などが対岸に

 

 


回転ひもの干し機?