切支丹息づく天草@

1999年2月

 

天草は最高やで。無理矢理つくったんじゃなくて自然なのがええなあ。教会とかも、昔からの信者がいるって感じで、漁村のなかに溶け込んでる。下田温泉の国民宿舎も、お風呂から海に沈む夕日が見える。「大空食堂」のチャンポンも絶対食べてみてや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖人饅頭になる

熊本市内から車で1時間半ほど、天草五橋の第1橋をすぎてしばらく走ると「天草四郎メモリアルホール」という看板が見えた。(入場料600円)

 扉をあけると、廊下の壁面いっぱいに色とりどりのレーザー光線が走り、シンセサイザーの音が宗教っぽい音をかきならす。展示室に入ると、南蛮船の先頭部分だけの中途半端な模型が中央に鎮座し、武将の人形やらなんやらが並ぶ。NHK教育テレビなみのセンスの悪さの、「子どもむけ歴史劇場」といったところだ。
 館の目玉は3D劇場だ。赤と青の色眼鏡をかけると、15分の番組が始まる。
 シュー、スカッ、と音を立てて矢がこっちに迫るように飛んでくると、居合わせたおばちゃんが
「わーっすごいねぇ」。3Dをはじめて見る人は驚くだろう。が、あとは推して知るべし。
 封建時代に自由と平等を唱えた天草四郎を英雄視するのはいいとして、オカルティックなヒーローになってしまっている。
 2階には瞑想室がある。安っぽい香のにおい、抽象的なオブジェ……。もう言いたいことはわかった、と思い、「開演」する前に踵を返した。結局、展示を見終わっても、何が原因のなんのための一揆だったのか、という肝心なところがわからなかった。
 最後は、例によってお土産売り場。「四郎ちゃん饅頭」「四郎ちゃん人形」…。わかった。もういい。
 「自由で平等」にいろいろな人の意見を採り入れた町づくりをしていたら、こんな中途半端に媚びたことはやらんと思うけど。
 自由・平等の意味がわからん首長が考えたんじゃないかしら(大矢野町長さんごめんなさい)。

【つづく】

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