花火も魚も淡路島A

1999年8月1-2日

花火と露店わくわく

  「新月」という寿司屋に入る。
 大将は威勢のいい江戸っ子風。
 「夏場は魚はいまいちやけど、きょうはカレーがおすすめや」というオヤジの声に押され、カレーの刺身をたのむ。肉厚で歯ごたえがしっかりしていて、ヒラメよりもずっとうまい。
「都会の人には絶対こんなうまい魚食えない。うちのは全部天然ものだから」と自信満々だ。毎朝由良の漁港まで買いに行っているという。
 ハモの子の煮付け、マグロの鎌の焼き物、アジ、鰯、エビ、アナゴ、カレー、マグロ…の握り、生ビール3杯…。それで1人5000円。カレーとアジとアナゴが絶品だった。

 ドドーン、パーンの音につられて海岸へ。露店が建ち並んでいる。
「ベビーカステラと焼きそばとタコヤキとかき氷はぜったい食べるんや」とサルは気合いを入れている。
 まずたこ焼き。それから懐かしのラムネ。
「もうあかん。おなかいっぱいや。終わりや」といいつつ、かき氷の店にフラフラと歩いていく。
「コーラのがおいしいで」(店のあんちゃん)
「イチゴもおいしそうやなあ」(サル)
「ほなスペシャルや。全部入れたろか」
「全部じゃなくていい。イチゴとコーラ入れて」
2つの蜜が入り交じった大盛りかき氷を、
「つべだい(つめたい)、あだまいだい(頭痛い)…」と大騒ぎしながら、あっという間に食べてしまった。
食い終わって一服つくと、
「やっぱり私がヒロスエみたいやからスペシャルにしてくれたんちゃうか」
レイザルは別名、広末ピン子とも呼ばれている。    3500発の花火は迫力がある。琵琶湖やPLには及ばないが、神戸2300発、芦屋1300発という数字と比べるとその規模がわかるだろう。「水中花火」という趣向もおもしろい。花火を海面に水平に打って、水面間際で花開く。
「こんな花火ははじめてや。都会の花火は彼氏と行くとか、人混みを楽しむという感じやけど、ここのはちょっと腰をおろしたりして花火じたいを楽しめるわ」(サル)
 8時から始まった花火は9時に終わり、露店は店じまいを始める。ベビーカステラの店には列ができている。
「きょうはおなかいっぱいやけど、次は食べるで。ミルクメロンのかき氷と焼きそばもや」
いま食べたばかりなのに、もう食い物のことを考えている。
 9時半、宿にもどると、おばさんがガラスの皿にスイカを2切れもってきてくれた。
「ウェルカムドリンクは麦茶で、ルームサービスはスイカや。しゃれてるなあ」(サル) 【つづく】

花火はええなあ。浴衣の女の子はもっとええなあ