世界一の夜景汚すアホ学生@

京都・大文字山 1985年4月

 

 むっちゃきれいやけど、帰りは暗くて怖い。ゴローは慣れてるからええやろけど、懐中電灯くらい用意せえって、怒ったったわ。ロマンチックな夜景があって、暗闇があって、下心ある男(女でもええけど)には最高のスポットやな。登る前にはビールを買うのを忘れずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男だけのハイキング

 鴨川は桜に彩られている。大学の構内もピンク色だ。
 屋台が出て、新入生を勧誘し、女子大から来た女の子の声が建物のあいだにこだまする。同じ新入生なのに、そんな華やかなサークルはなぜか声をかけてくれない。段ボール1個と茶箱1つの引っ越しの荷物を解いていないから、靴下や下着は3日目だ。もしかしたら臭うのかな。
 「大文字でキャンプせえへん?」。ようやく声をかけてきたのは鏡に映った自分の姿を見ているような風体の男だった。手渡されたビラには「ボヘミアン」とある。
「(なんや、宗教団体かいな)金がないし、交通費も出せないし、無理です」
「すぐそこに見えるやん。歩いてすぐや。酒と飯はタダでええんやで」
「ただ飯」という言葉にコロリとだまされた。
 午後3時ごろだろうか、総勢15人ほどが集まった。すべて男。(しまった)。
 寝袋や食糧、テントを詰めたズタ袋のようなリュックをわけてもつ。銀閣寺の門の前を左に折れると間もなく舗装道は途切れ、山道になる。「如意ケ岳方面」という看板がある。大文字山の本名だ。
 川沿いの道を5分ほど歩くと、山側からチロチロと水が流れている。最初で最後の水場である。10リットルのポリタンいっぱいに満たす。

川を渡って急坂に取り付いて15分のぼると、道は2つに分かれる。分岐点には道祖神?がある。「大」の字の真下の位置にあたる。
 登山道から見えない林のなかに、テントを4張ほどたて、薪をあつめて火を起こし飯盒で飯をたき、カレーをつくる。

【つづく】

日記のページ 穴場の旅 haiti peru salvador guatemala nicaragua mail top