午前11時すぎ、旭川空港に着き、レンタカーを借りる。
ノーベル平和賞をとったリゴベルタ・メンチューが来たとき以来、8年ぶりの北海道だ。
空港を出るとまっすぐな道。軽くアクセルを踏んでいるつもりなのにすぐに80キロまでメーターが上がってしまう。
東川町に入る。「写真の町」を標榜し、あちこちに芸術家や木工職人が住んでいるという。建物と建物のあいだに広々とした空間があって、荒涼とした印象がある。冬は、ちょっと離れた店に買い物に行くのにも車が必要なんだろうな。
忠別川を渡る。コンクリートばりになっておらず、ごろごろと転がる岩の間を、ゴゴーと音をたてて水しぶきがあがる。自然な川っていいなあ、と思っていたら上流ではダムを建設していた。ほんまに必要なの?
急坂をぐんぐんのぼり、40分ほどで旭岳温泉に着く。大学1年のときは、黒岳石室でキャンプし、北海岳経由で縦走してここに降りてきた。テントに泊まり、翌朝は天人峡まで歩いた。谷の向こうに熊らしき姿を見つけて焦った覚えがある。金がなくて温泉にも入らなかったような気がする。
翌年はサークルの連中と野宿だった。
今回は安い宿が満員だったせいで1泊2食14000円のホテルに泊まることに。24時間入れる風呂で体をあたためたあとのビールがうまい。
ちなみに、天人峡温泉への分岐点にある民宿「まんてん」は、素泊まり3000円と格安だが、畳の上や壁は虫だらけという。観光バスの運転手やガイドがたくさん泊まっているらしい。明日一緒に山に登る2人はここに泊まることになったが、そこの風呂に入る気になれずにこっちのホテルで入浴していった。
【つづく】