五島列島教会巡りC

2001年1月28-30日

福見教会 【15:20奈良尾発、15:40着】

 船は奈留島に寄港し、15:00に若松港に到着。トヨタレンタのお兄さんが迎えに来ている。橋をわたって中通島の奈良尾へ。
 奈良尾港前にある事務所でスターレットを借りる。乗り捨て料金と、ガソリン代13リットルぶんで11000円。
 福見教会は漁師のムラにある。教会が経営する老人福祉施設や幼稚園が点在し、海を見下ろす教会の真下の運動場では、お年寄りがゲートボールを楽しむ。足元がおぼつかないおじいさんはよったらよったらと散歩している。段差は多いけど、老人にも住みやすい雰囲気がただよっている。「バリアフリーとか言うけど、段差とかばかりに目が行くのはヘンな話や」(レイザル)
 看板に 「大正2年建設……島内でも有数のキリシタン部落で信徒が人口の98%を占める」という説明書き。赤れんがの教会の扉をあけると、下駄箱におばあさんの忘れ物のショールがかかっている。片隅に保管してある十数台の扇風機が、夏場のミサの様子を想像させる。
 こういう信心深い集落って、老人の生き甲斐とか、体が不自由な人への福祉とか、ほかとは違ったものがあるのかなあ。知りたいところだ。16:00発

福見教会

途中のムラの山の斜面にあった納骨堂

 若松町の入り江に影を落とす木造の中之浦教会は車窓から見るだけで素通り。
  上五島町に入るとやけに道が広くなり歩道が整備され、「○○会館」と銘打った巨大な公共施設が増える。石油備蓄基地ができたせいだろう。原発の町もそうだけど、巨大迷惑施設ができると確実に町内のハードは充実する。けど、人の心とか町民の連帯感といったソフトは確実に荒廃するんだよな。
 10分に1度くらいの割合で教会を見かける。斜面の上に白い教会を見かけ、狭い道を登る。さらに上に古そうな塔を見つけてそこにたどりつくと、納骨堂だった。村と入り江をみおろす一番高いところにある。

青砂ケ浦教会 【16:55着】

 「昔、外海地方から移住してきたキリシタンの子孫と、迫害を受けて逃れてきた信徒の子孫と言われている」と看板に書いてある。
 今の建物は3代目で1910年に建てられたという。レンガ造りで風情がある。ステンドグラスの柔らかい光は心を落ち着かせてくれる。午後5時、スピーカーから賛美歌が流れ、村中に響き渡った。入り江の水面に夕日がチラチラと反射し、万華鏡のよう。
 17:30 新魚目町(しんうおのめ)の国民宿舎「しんうおのめ温泉荘」に着く。ちょっと手前にあるコンクリート造りのモダンな教会から子供が数十人出てきた。教会がこれほど日常にとけ込んでいるなんて、中南米の町にいるようだ。

青砂ケ浦教会
青砂ケ浦教会の内部

 国民宿舎の大浴場は改装中。裏にあるクアハウスのような施設が6時まであいてるから、風呂だけ浴びる。
 夕食は、特注で五島牛のたたきをたのんだ。これはうまい。刺身はタイとイカだったが普通の味。小魚などのかきあげ(冷えてて油が悪い)、ブリとジャガイモの煮付け(汁が透明でジャガイモのおいしさは驚き)、茶碗蒸し、お吸い物(トロロを湯葉で包んである具)、イカのわさび漬け?、その他。全体的にはいまひとつ。民宿の方が料理はよかったろう。まあ2人で1泊2食とビール・焼酎をつけて15000円だから文句は言えまい。
 夜、缶ビール1本飲んだのが余分だったようで、ちょっと腹の調子が悪くなった。 【つづく】