ベッドタウン生名島@

2000年6月

 

 尾道駅前からバスで45分ほどで、島1つが市になっている因島市の土生港に着く。造船所の無機質なクレーンと、対岸の生名島の瀬戸内らしい穏やかさのコントラストが独特だ。

汗だくになって登った展望台から見た夕景

 

主要産業

 造船が華やかなりしころは日立造船の企業城下町として栄えたが、新造部門がなくなって修繕しかしなくなった。かなりの数のスナックがある島唯一の繁華街だが、商店街はシャッターばかりが目立つ。居酒屋や喫茶店を探すがほとんどあいていない。
 因島は広島県だが、数百メートルの川のような海を隔てた生名島は愛媛県である。渡船で3分間、運賃60円で渡れる。
 生名村の玄関口の立石港には何もない。鶯や雀の声が響くだけ。鉄筋コンクリート4階建ての団地のような建物があるが、人の住んでいる気配はない。周囲は背丈ほどの雑草が生い茂り、窓ガラスもいくつか割れている。かつては日立造船の独身寮だっという。真新しいコンクリート造りの高齢者デイケアセンターはこの日の衆院選の投票所になっているが、これまた静まり返っている。
 村が作った観光マップに「こっそり教えます」ともったいぶって紹介されていた「メンヒル」という場所に行ってみる。高さ5メートル、周囲20メートルの男根形の巨石は、弥生時代に島の外から運びこまれたものだという。それだけだ。
 午後8時までの3時間をどうやって時間をつぶそうかと最初は思ったが、これだけ見事になにもないと逆に楽しくなってきた。
 島を半周してみることにする。カンキツ類の木が多い。農家が多いのかな、と最初は思ったが、雑草が茂り、腐った実が足もとにいくつも落ち、木々の間を歩く隙間もないほど密植していて収穫できる状態ではない。これで生計を立てているわけではなさそうだ。 【つづく】

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