チョウチョウウオ、ハマクマノミ、スズメダイなどなど、きょう米原の海岸で見た魚のことがよくわかる。
白保の新空港計画は撤回されたとばかり思っていたのに、海にほど近いカーラ岳周辺に場所が移っただけだった。
「こんなんアカンやん。赤土が出たらサンゴが死ぬのは当然やん」とレイザルが怒って、「なにをしたらええんやろ」と職員のお兄さんに尋ねた。
「計画地からはレッドリストに属する生物やカンムリワシの営巣地みつかった。事前調査もしてないもんだから、計画が決定してから見つかったんです。地域の人は声をあげにくいから、全国から声を集めてほしい」と話す。
地元の人は20年間闘って一度は白保の海上案をはねのけた。なのに稲嶺知事にかわってまた、白保に空港計画が舞い戻ってきた。みんな年をとってかつての元気はなく、誘致派の声が目立つという。
「白保公民館」(自治会)も賛否は割れている。生活が苦しいから自分の土地を売る人もいる。そもそも石垣は土建業が基幹産業だから、しがらみでがんじがらめ。地元新聞も賛成派に肩入れしている。
かつて、賛否で集落が2分され、豊年祭は賛成派と反対派は別々、買い物する店も別々、家族のなかでも食卓も別…という時代があった。そういう時代に逆戻りしたくない、という気持ちがあるから、内心反対の人も声をあげにくい。「あのときのことは話したくない」というばあちゃんも多いという。
どこも同じだ。愛媛・今治の織田ケ浜も内心は浜を残して欲しいのに、しがらみと怖さで大変の人は声をあげられなかった。四国カルストの大規模道路も、だれも必要だと思っていないのに、たかだか2,3年の土木事業をつくるために計画された。
館を後にするとき、職員のお兄さんに話しに来たおじさんが「ウミンチュが船着き場の小屋で夕方6時半から遊んでる(飲んでる)からおいで」と誘ってくれた。【つづく】