武田尾 廃線ハイク@

1999年8月31

 

 私はなかなかゴロー思いだ。
 もともと出不精・面倒くさがりやなのに、ゴローの趣味に合わせて山歩きなんかにつき合っているからだ。
 この前なんかいきなり早池峯山に登らされたし。
 中高年ハイカーが楽しそうに歩いている姿が恨めしい。
 それでも思い切り体を動かし、汗をかいたあとの温泉や食事やビールは何とも言えず それに釣られて、またくっついてゆく。

 

 

 

 

 

 

新築マンションに目を奪われ


 早池峯で自信がついて体力が落ちるのを怖れて 今度は比良山へ行く予定をたてた。
 午前5時半起きで出発、のつもりが 起きたら8時半。行き先をいきなり武田尾に変更。
 西宮北口駅でモーニングセット を食べ、腹ごしらえ。
  阪急宝塚駅を11時過ぎに武田尾へ向けて出発。
 昔はひなびた温泉旅館が建ち並ぶ武庫川沿いは 今では高層マンションがひしめいている。
 所々、空き地があり震災のことを思い出す。
 神戸の人間(「サルちゃうんか」=ゴロー)である限り、空き地や新しい建物を見るたび、こうやって心の中で目を閉じて昔の景色を思い出そうとしてしまうんじゃないかな。
 なんて感慨に耽っていると、目の前に新築マンションのモデルルーム。ハイキングよりそっちが気になってきた。ゴローは
「この辺は道路がうるさいからあかんで」などと、いつもながらもっともらしいことを言っては、私の気を逸らそうとする。もうその手に乗るか。
 生瀬(なまぜ)までは交通量の多い国道176号をだらだら歩く。
 青葉台という住宅地で迷い、もう引き返そうかなんて 思っているうち、目的の旧福知山線の廃線跡にたどり着いた。
 枕木をたどりながら映画の「スタンドバイミー」の唄を口ずさむ。
(「キャンディーキャンディーにしか聞こえないけど」=ゴロー)
 夏休み最後の日の暑い昼下がりとあって、私たち以外だれもいない。   【つづく】

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