西伊豆の味の名宿!? 1

 

 年末年始に休みが取れたゴロー。例によって直前まで行き先が決まらない。実家の埼玉へ行く途中に寄り道して伊豆へ行くことにした。
 温暖な気候のもと、温泉に入って、おいしい魚料理でも堪能するか!
 ホントなら旅館にしたいところだが、贅沢ばかりしては アカンと思い、民宿を選んだ。西伊豆(土肥)の民宿組合へ「料理が評判の民宿」を紹介してもらう。
 2件のうち1件目は満室。年末やし仕方ない。次の「みやもと」へ電話。
「ガチャ」
「……もしもし、あの、『みやもと』さんですか?」
「はい、そうですが・・・」 (接客業なのにアイソないなぁ)
「あの、民宿組合から『料理の評判がいい民宿』ということで 紹介して頂いたのですが…」
「ハァ?」
  誰が言うたんやそんなこと!と言わんばかり。不安は増すばかり。 それでもこの時期どこもいっぱいだろうと、予約を入れることに。
「あの、30日2名なんですけど」
「ああ、いけますよ。」とえらくあっさり。さらに追い打ちで
「小さな部屋空いてますよ」
おい!布団部屋ちゃうやろな!?
  せめて料理はぜいたくしよう。 なんてったって民宿組合オススメの「味の宿」や (そんなこと誰も言ってないのだが)。
  「お料理はどんなですか?」と期待を込めて尋ねた。
「普通ですよ。突き出し、焼き魚……」。 民宿の方がメシはウマイ、と言い切ったゴローが怨めしくなった。
「あの、地の魚とかは?」
「刺身はつきますよ」
「この時期珍しいものは……例えば高足ガニとか?」
「高足ガニ?あれは土肥ではなく戸田です。それにおいしくないですよ」
夢をうち砕いてゆくのがうまい宿だ。
「じゃあ、深海魚なんかは?」。 すがる思いで聞いてみる。
「深海魚?あんなキモチ悪い魚。見たことあります?」
  どーしよー、予約取り消したくなってきた。 迷うまもなく予約金の振り込み先を告げられた。
  霧ヶ峰ロッヂ同様(こちらを参照)、予約金1万円で身柄拘束。(12/28)
【つづく】